【す】好きなことが仕事になる

Posted at 11/08/23

学生や社会人が仕事を選ぶときに、しばしば議論の対象となるひとつの問題があります。それは「好きなことを仕事にするべきかどうか?」ということ。

この問題に関しては、さまざまな意見があります。大きく分けると、「そうするべきだ」という意見と「そうするべきではない」という意見の2種類。後者の代表的な主張としてはこんなものがあります。

どんなに好きなことでも、仕事として取り組むと純粋に楽しめなくなる。そうなると結果的に人生の楽しみをひとつ失ってしまうことになる。だから、好きなことは仕事にしない方がいい。特に、いちばん好きなことは仕事にせずに、趣味にとどめておくべきだ。

この意見をはじめとして、「好きなことを仕事にするべきかどうか?」という問題については、賛成・反対のいずれの意見も数多く存在しています。

この問題に対する私の答えは、賛成・反対のどちらでもありません。なぜなら、人は往々にして、自分が好きなことが何であるかを明確には知らないことが多いからです。知らないものを人生の選択の基準にすることはできません。

例えば、ここに「カレーライス」を好きな人がいるとしましょう。彼はカレーが好きだから、カレーを仕事にするのが妥当だと思われるかもしれません。

でも、「カレーを仕事にする」とは具体的にはどういうことでしょうか? 家庭用レトルトカレーを製造している会社に入社して、新製品の開発を手がければいいのでしょうか? それとも、資金を集めてカレーライス店を立ち上げて、たくさんのお客さんに来てもらうことを目指すべきでしょうか? または、調理師免許を取ってシェフとなり、カレーを調理するプロになるべきでしょうか? あるいは、日本全国のカレーを食べ歩き、その感想を雑誌や書籍に書いて、カレー評論家として名をあげるべきでしょうか?

そう考えると、「カレーが好き」というのは、職業選択の基準としてかなり曖昧なものであることがわかります。具体的な仕事につながるような形で、カレーをどういうふうに好きであるかということを明確にしていない限り、そもそもカレーが好きというだけで適切な仕事を選ぶことはできないのです。

ほとんどの社会人は、仕事を始めてみてから、自分の本当の興味や適性に気づくものです。それから軌道修正をして、必要があれば会社や職種を渡り歩いて、納得のいく仕事ができるようになるのです。

そういうわけで、「好きなことを仕事にするべきかどうか?」という問題は、問いの立て方に無理があると思います。大抵の人は、はじめから当たり前のように好きなことを仕事にしてしまっているか、仕事をしながら好きなことを見つけて、結果的に好きなことが仕事になるように自ら仕向けていくのです。

好きなことを仕事にするべきかどうか考えるまでもなく、好きなことが仕事になる。そういうものだと思います。

b.gif←好きなものは好きと言えるきもち

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