大黒秀一著『転がる日本にバカ満ち足りて』
Posted at 10/02/01 PermaLink»
「日刊サイゾー」でも「退屈巡礼」という連載をされている、大黒秀一さんの『転がる日本にバカ満ち足りて―あきらめの楽園へ』という本がかなり面白かったです。日本の観光地やダメスポットに漂うダークな空気にだんだん脳が汚染されていく感じが心地いい。
思えば、我々は誰でも一度はこんな光景を目にしているはず。修学旅行とか社会見学とか、あるいは個人旅行で。
古臭い、鈍感、雑、手抜き、アート志向。――このような要素から生まれた、退屈と退廃のダメスポット。私たちが心の片隅に追いやって忘れていたはずの、忌々しくも悲しく愛しい記憶が、まざまざとよみがえってくる。
ひどいけど、ひどすぎて笑える。救いようがないけど、救えないことで救われる。そういうことが確かに世の中にはある、ということを改めて思い知らされる。
いわば、日本国内における「観光」とは、落とし穴のように全国各地に潜む、この種のダメスポットの放つ禍々しい妖気のようなものに身を捧げる覚悟を持つ、ということでもあるのだ。
あと、この本は、大黒さんのスタンスも実にちょうどいい。無理にあざ笑う感じでもなく、変に自虐ぶる感じでもなく、あくまでニュートラルな立ち位置で状況を淡々と描写している。このバランス感覚がいい。心に深く刺さる一冊です。