映画『しんぼる』の解釈は気が進まない

Posted at 09/09/12

映画『しんぼる』を見てきました。何とも感想が言いようのない作品だという印象だったんですが、思ったことをざっと書き出してみます。ネタバレ危険箇所は伏せ字で。

・率直に言って、前作の『大日本人』に比べると良くなっていると思いました。前作は、いろんなことを考えに考え尽くして、迷い抜いたあげくに不時着に終わったという印象を受けたのですが、本作はそんなことはなかった。迷いなく振り切ったらこんな出来になりました、というところ。ノイズが少なく、圧倒的にシンプルでクリアに作られている。肩の力が抜けているなあと思いました。

・それにしても、公開初日の初回なのに客入りはかなり少なかった。あれだけプロモーションをしても、世間の期待度は実際こんなものなんだろうなあ、というのがリアルに伝わってきた。前作を見て、今回はもう見なくていいや、と思った人も結構いるんでしょうね。

・実際、「他人にあまりおすすめできない感じ」は前作よりもさらに強い。笑えるかと言われたらそんなに大きな笑いどころはないし、映画としての出来がいいかというとたぶんそれもない。良くも悪くも、映画の素人が作った娯楽性の低い作品であることは間違いない。

・ただ、もちろん、全然見るべきものがないということではない。前作よりもそれなりにきちんとした話の展開はあるし、世界観にまとまりはある。松本人志という一個人に対してそれなりに興味がある人だったら、まあまあ飽きずに最後まで楽しめるものには仕上がっている、と思う。

・この手の作品に関して、「劇中に出てきた○○は、××を象徴していて……」というような解釈をするのは気が進まない。なぜなら、これはもともとそういうふうに作られているという前提の作品だからだ。何しろ題名が『しんぼる』で、シンボリックなあれが重要なモチーフとなっているわけだから。これだけ明白に手の内をさらけ出されてしまうと、解釈という営為はその意味を失う。すべてはあまりにわかりやすく配置されている。

・それにしても、そういうテーマ的なものはさておき、映画としての物足りなさはもうちょっとどうにかならないものだろうか。これぞ映画、と呼べるような印象的なカットが一切なく、映像作品として見た場合の出来はどうひいき目に見ても悪い。音楽や音効も今ひとつ。この作品は、テーマとしてはたぶん『2001年宇宙の旅』に割と近いと思うんだけど、映像的なセンスははるかに劣る。

・すごく感覚的な感想を一言だけ言うと、クライマックスのあの展開には笑いました。思わずにやっとした。あの姿は「鳥居みゆきがヒットエンドラーンをやっている」みたいにも見えるし、普通に見たら「修行をしている麻原彰晃」だ。「幸福の科学が作ってる映画」とかもたぶんこんな感じなんでしょうね。見たことないけど。

・まとめると、この映画は、いわゆる「映画」であることやいわゆる「お笑い」であることを徹底的に拒否して、ただ松本が「松本」であろうとすることにこだわった作品だと思う。その意味では圧倒的に異質で異様だ。ただ、この内容だとさすがに興行的に大コケすることは目に見えているので、このプロジェクトは次にどこへ向かうんだろうなあ、という感じはしますね。

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b.gif←松本監督・ばんざい!

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