ラサール石井、やくみつる著『つけっぱなしTV』

Posted at 07/01/17

12年前に出されたラサール石井のテレビ評論本を読んでみた。予想通り、おもしれー。当時のテレビ番組やお笑い芸人に関して、今も通用する刺激的な話がいっぱい。いくつか引用してみます。

まずはDJ OZMA問題にも関連するタイムリーなネタで。「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」について。

> …ただ一言。子供の観ている時間帯で小林ひとみが全裸で登場したりするのはどうか。

ほら、やっぱり、当時は女性の裸体なんて珍しくなかったんだよね。それ自体の是非はともかく、そういう時代がたしかにあった、ということだけは改めて強調しておきたい。

元祖お笑いネタ番組ともいえる「花王名人劇場」について。

> この番組が他の寄席番組と異なる点は、ちゃんと入場料をとった興行であったところであろう。すなわち無料の公開録画の無責任な客とは違って、本当に笑いの好きな人々が集まってくるということである。

んー、今観客にそれだけの緊張感があるお笑い番組はM-1しかしないですよね。エンタもオンバトも笑金もその他の賞レースも、観客は総じてどうしようもない。この前のTBSの「ザ・ドリームマッチ07」だって、内容はいい番組なのに観客がウザい反応をする場面が何度かあった。

「とんねるずのみなさんのおかげです」について。

> とにかく誰もが彼もがみんな観ている。中高生はもちろんのこと、私のマネージャーまでもが観ている。いや、それだけではない。小学生も幼稚園児まで観ている。みんな「ゲロゲロ」だの「オトナじゃ~ん」だの「ぶっとばすぞぉ~」などと叫んでいる。

はい、たしかにそういう時代がありました。でも冷静に振り返ってみると、こういう勢いがあったのって長いとんねるずの歴史の中では意外と短い期間の話だったかもしれない。それ以前は、若者中心のもうちょっと狭い層に支持されていた感じだったと思う。

「夢で逢えたら」について。

> …いまのこの番組をイマイチもの足りないと思うのは私だけであろうか。正直に言って一番最初に観たときに、全然笑えなかった。…これは演者側の問題というより作り手側の問題であろう。…”何か面白そうな空気”はある。しかし”笑いに対するマインド”を感じないのである。

これは現在の「めちゃイケ」「はねトび」にも通じる、フジテレビ系お笑い番組の「面白そうな空気を作る一派」に対する本質的な批判になっていると思う。たしかに、残念ながら、昨今のバラエティー番組の大半には「笑いに対するマインド」は感じられません。われわれお笑い者にとってはそこだけが重要なことなのに。

「ごきげんよう」の小堺一機について。

> 以前、酒を飲んで話したときに、「僕は、ただ行って座って、ちょっとしゃべって帰ってくるだけの仕事はもうやらないようにしてるんです」と言っていた。

小堺の芸能界を生きるスタンスが垣間見れる興味深い話。

「ダウンタウンDX」について。

> ダウンタウンの笑いの特徴は、かなり先鋭的でシュールな部分から、突然庶民的な大阪の中学生の世界にワープするように直結する落差にあるというのが私の持論であるが、この番組を観ていると、そのワープするエンジンを持っているのが松本で、操縦桿を握っているのが浜田であることがよくわかる。

これは、世の中に数多いダウンタウン批評の言説の中でも格別に優れた表現ではないでしょうか。私もつねづね似たようなことは思っていたのです。ダウンタウンの笑いは射程が広い、と。シュールで意味不明なナンセンスネタから、日常の細かいことを語り出す共感系のネタまで、あれだけ幅広い種類の笑いを1組のコンビがカバーし尽くしてるっていうのはそれだけですごいことだと思う。

ラサール石井、これからもどんどん語っていってほしいなあ。これほどの才能が世の中にあまり知られていないのはもったいない。

b.gif←電車男はチビノリダー

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